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Attention

概要

 Attention機構は、機械学習の分野で自然言語処理や画像処理などのタスクにおいて広く使用される重要な技術です。Attention機構は、モデルが入力データの中から重要な情報に注目できるようにするためのメカニズムです。

 例えば、車を運転しているときに、私たちの目には様々な情報が入ってきます。ほかの車両や交通標識以外にも、空の様子や、建物など多くの情報を取得することができます。私たちの脳は、ほかの車両の様子、交通標識、歩行者など、運転するうえで必要な情報に対して、意識を注意させ、それ以外の情報を排除しています。深層学習でも同様なことを行うモデルが提案され、それをAttentionと呼びます。関心のある要素に対して、重みづけを行うことを意味しています。それぞれの関心ごとに対して、重要な領域を切り出していくことで、不必要に計算量が増大することを防ぎます。

 通常、入力データはベクトルや行列の形で表現されます。Attention機構では、この入力データの中で注目すべき部分を選択するための重みを学習します。これにより、モデルは入力の異なる部分に異なる重要度を与えることができます。

具体的には、Attention機構は以下の手順で機能します。

  1. 入力データの特徴量を計算します。これは通常、ニューラルネットワークの中間層の出力です。
  2. 特徴量を使って、各要素に対する重要度を示すスコアを計算します。スコアは、各要素と関連する重みパラメータによって決定されます。
  3. スコアを正規化して、重みとして使用できる確率分布を得ます。一般的には、ソフトマックス関数を使用して正規化します。
  4. 正規化された重みを使って、入力データの各要素を重み付けして統合します。これにより、重要な要素に対する注目度が高くなります。

Attention機構は、特に自然言語処理のタスクにおいて有用です。例えば、機械翻訳の場合、Attention機構を使用することで、翻訳元の文中の単語と翻訳結果の文中の単語の関連性をモデルが学習できます。これにより、文の異なる部分への注目度を柔軟に制御することができます。

Attention機構は、他の機械学習タスクでも幅広く応用されています。例えば、画像キャプション生成では、画像の異なる領域に注目することで、適切なキャプションを生成することができます。

総括すると、Attention機構は機械学習モデルが入力データの異なる部分に注目するための仕組みであり、特に自然言語処理や画像処理のタスクにおいて効果的に使用されます。

 

基本構成

 入力は、クエリ、メモリ(キー、バリュー)で構成されています。クエリ、キー、バリューが同じものをSelf-Attention、異なるものをSource Target Attentionと呼びます。

コード例

ここでは、PythonとTensorFlowライブラリを使用したAttention機構のコード例を示します。以下の例では、自然言語処理のタスクでのAttention機構の実装方法を示しています。

import tensorflow as tf

class Attention(tf.keras.layers.Layer):
    def __init__(self):
        super(Attention, self).__init__()

    def build(self, input_shape):
        self.W = self.add_weight(shape=(input_shape[-1], 1), initializer='random_normal', trainable=True)
        self.b = self.add_weight(shape=(input_shape[1],), initializer='zeros', trainable=True)

    def call(self, inputs):
        score = tf.matmul(inputs, self.W) + self.b
        attention_weights = tf.nn.softmax(score, axis=1)
        context_vector = attention_weights * inputs
        output = tf.reduce_sum(context_vector, axis=1)
        return output

この例では、Attentionクラスが定義されています。__init__メソッドでは、Attention層の初期化を行います。buildメソッドでは、重みパラメータ(self.Wとself.b)を定義します。callメソッドでは、Attention機構の計算手順を実装しています。

このAttention層をモデルに組み込む場合は、通常のKerasモデルのように利用することができます。以下は、Attention層を含むシンプルなモデルの例です。

import tensorflow as tf

# Attention層を含むモデルの定義
class MyModel(tf.keras.Model):
    def __init__(self):
        super(MyModel, self).__init__()
        self.embedding = tf.keras.layers.Embedding(input_dim=10000, output_dim=128)
        self.attention = Attention()
        self.dense = tf.keras.layers.Dense(units=64, activation='relu')
        self.output_layer = tf.keras.layers.Dense(units=10, activation='softmax')

    def call(self, inputs):
        x = self.embedding(inputs)
        x = self.attention(x)
        x = self.dense(x)
        output = self.output_layer(x)
        return output

# モデルのインスタンス化
model = MyModel()

この例では、Attention層を含むモデルMyModelが定義されています。モデルのcallメソッドでは、Attention層の前後に他の層(埋め込み層や全結合層)を追加しています。

上記のコード例は、Attention機構の基本的な実装方法を示していますが、実際のタスクやモデルに応じて適切な形に変更する必要があります。また、上記の例ではTensorFlowを使用していますが、他の機械学習フレームワークでも同様の機構を実装することができます。

参考文献

https://arxiv.org/abs/1706.03762