概要
BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は、2018年にGoogleによって提案された自然言語処理(NLP)のモデルです。BERTは、その前のモデルよりも優れた性能を示し、自然言語の理解やタスクの精度を大幅に向上させました。
以下はBERTの主な特徴です:
- 双方向性 (Bidirectional): BERTは、文の前後のコンテキストを考慮して単語の表現を学習します。これにより、ある単語の意味を理解する際に、その前後の単語の情報を活用できます。
- Transformerアーキテクチャの採用: BERTは、Transformerモデルの一部であり、Self-Attention機構を使用しています。これにより、文の中での単語の依存関係を効果的にキャプチャできます。
- 事前学習 (Pre-training) とファインチューニング: BERTは、大規模なテキストコーパスを使って事前に学習されます。この事前学習されたモデルを、特定のタスクに適用するためにファインチューニングできます。
- 多数のレイヤーと注意ヘッド: BERTは多数の層(通常は12層または24層)と注意ヘッド(Attention Head)を持ち、非常に複雑なモデルです。
- 事前学習タスク: BERTは、「Masked Language Model (MLM)」タスクと「Next Sentence Prediction (NSP)」タスクの2つの事前学習タスクを行います。MLMは、文からランダムに一部の単語を隠し、その隠された単語を予測するタスクです。NSPは、2つの文が連続しているかどうかを予測するタスクです。
BERTの事前学習の能力を活かし、さまざまなNLPタスク(感情分析、文書分類、質問応答など)でファインチューニングを行うことで、非常に高い性能が得られます。
BERTはその後、NLP分野における重要な基盤となり、さまざまな応用や派生モデルが開発されました。
アルゴリズム
- 事前学習 (Pre-training):
- 大規模なテキストコーパス(例: Wikipedia)から取得した文を利用します。
- この段階では、文内の一部の単語がランダムにマスクされ、そのマスクされた単語を予測するタスク(Masked Language Model, MLM)が行われます。
- また、2つの連続した文が与えられた場合、それらが実際に連続しているか否かを予測するタスク(Next Sentence Prediction, NSP)も行われます。
- Transformerモデルの採用:
- BERTは、Transformerアーキテクチャを採用しています。
- Transformerは、Self-Attentionメカニズムを使用して文内の単語の関連性を学習します。
- 双方向性 (Bidirectionality):
- BERTは、前後の文脈を同時に考慮して単語の表現を学習します。これにより、各単語の意味を理解する際に、その前後の単語の情報が活用されます。
- 多数のレイヤーと注意ヘッド:
- BERTは、通常は12層または24層のTransformerレイヤーを持ち、各レイヤーには複数の注意ヘッドが存在します。
- ファインチューニング:
- 事前学習されたBERTモデルを、特定のNLPタスクに適用するためにファインチューニングします。
- 例えば、感情分析、文書分類、質問応答などのタスクに対応させるための追加のニューラルネットワーク層が追加されます。
以上がBERTの基本的なアルゴリズムの手順です。BERTはその優れた能力から、自然言語処理の様々なタスクで非常に効果的に使用されています。
コード例
from transformers import BertTokenizer, BertModel
import torch
# BERTのトークナイザーをロード
tokenizer = BertTokenizer.from_pretrained('bert-base-uncased')
# テキストをトークン化してBERT用の入力形式に変換
input_text = "Hello, how are you?"
input_ids = tokenizer.encode(input_text, add_special_tokens=True)
# テンソルに変換
input_tensor = torch.tensor(input_ids).unsqueeze(0) # バッチサイズ1でラッピング
# BERTモデルをロード
model = BertModel.from_pretrained('bert-base-uncased')
# 推論モードに設定
model.eval()
# テンソルをモデルに渡してエンコード
with torch.no_grad():
outputs = model(input_tensor)
# 最後の層の出力を取得
last_hidden_states = outputs.last_hidden_state
# 結果の表示
print(last_hidden_states)